地域密着から全国展開へ — 森田商店が始めたデジタル化への挑戦

地域密着から全国展開へ — 森田商店が始めたデジタル化への挑戦

東京・南青山で20年以上にわたり、伝統工芸「ナンタケットバスケット」を制作するための材料を販売。スタッフがインスタライブ配信を行うと即完売するほど、地域に愛されてきた「森田商店」は、オンライン販売を開始して以来、全国からさらに多くのファンを迎えています。

今回は、オンラインショップにかける思いや、成長の鍵となったShopifyと店舗のPOS連携の経緯、今後の展望についてお話を伺いました。

 

── 森田商店様のプロジェクトに携わらせていただいたのは、ちょうどコロナ禍の真っ只中だった2020年5月ごろからです。改めて、自社のオンラインショップをオープンするに至った背景を教えていただけますか?

 

森田様:私たちはナンタケットバスケットという米国の伝統工芸品を作るための商品販売を国内向けに展開しています。一つのバスケットを自分の手で仕上げるというコンセプトのもと、その制作過程で必要な約3,000種類のパーツを揃え、南青山の実店舗とオンラインショップの両方で提供しています。2020年の初め頃までもオンラインショップはありましたが、かなり旧式のサービスを利用しており、使い勝手が十分とは言えませんでした。

また、店頭に来ていただく方だけでなく、メールや電話で商品の問い合わせや注文を受けるという、アナログに近い方法で販売していました。そのため、時代に見合った形でネットショッピングをきちんと立ち上げたいという思いが強くありました。

ナンタケットバスケット

 

さらに、店頭の在庫はオンラインで管理できていたものの、POSシステムもかなり古いものでした。そのため、商品の登録や更新が十分にできず、お客様への発送も銀行振込確認後という非効率な方法で運営していました。

コロナ禍で外出規制が出たこともあり、お客様の来店が減少したタイミングで、店頭とオンラインの両方でより効率的な形に大リニューアルを図れないかとご相談した次第です。

 

── 大幅にリニューアルすることになりましたよね。その際にShopifyで運営をすることをご提案させていただきましたが、その後公開に至り、どのような変化を感じられましたか?

 

森田商店のオンラインショップ

 

森田様:まず事業者と一般のお客様向けの購入画面を切り替える必要があり、さらに商品のカテゴリによって割引率を細かく設定するなど、少々複雑な要件がありました。

商品に関しても、3,000種類の商品のうち、たとえばカラーや素材、形など1種類あたり数十ものバリエーションがあり、これらの分類が必要でした。

これが実現できるかどうか分かりませんでしたが、「Shopifyであればできる」という提案をいただき、本当に嬉しかったです。

在庫についても、店頭の商品はすべて撮影していただき、バリエーションも整理された状態でオンライン上に掲載した上、店頭在庫も即時反映できるようになりました。店頭では、ShopifyPOSの導入からレジスターの設定まで全て代行いただきました。

 

古いサービスから切り替えてShopifyで運営が開始された際には、不安と期待が入り混じっていましたが、商品をバーコードで読み取り、サイトでも在庫がきちんと反映されたときには、感動を覚えました。

 

── 公開日は非常に印象的でした。ローンチ前に色々とテストにご協力いただいたおかげで、なんとかリリースに至ったと思っています! 実際に苦労した点や、改善できて良かった点を率直に教えていただけますか?

 

高橋様:以前から、商品の検索のしにくさが課題だと感じていました。検索用語を知っている方しか見つけられないアイテムがあったりして…。リニューアル後は、商品をカテゴリ別に整理していただいたおかげで、かなり探しやすくなりましたし、写真も見やすくなりました。

商品の更新や編集の仕方、TOPページのバナー変更の仕方など、運営に必要なことは公開時にレクチャーしていただいたので、私たちで運用を行っています。

さらに、管理画面で商品が一元管理できてるので、現在の在庫状況を確認すると、店頭とオンラインがタイムリーに連動できているので助かっています。取り置きや、店頭受け取りにも対応でき、注文からお受け取りまでのプロセスが劇的に効率が良くなったと感じます。

以前は銀行振り込みか代引きのみだったので、取り置き後の決済のやりとりも煩雑でしたが、現在はオンラインでカード決済が簡単に行えるようになり、登録アドレスにカード決済用のリンクをメールで送ることもできます。予約を承り、ご希望の商品が入荷した際にアナウンスすることも可能です。

南青山店には3,000アイテムものパーツを販売

 

おかげさまでお客様とスムーズなやりとりができ、オンライン売上も順調に伸びています。

不便な点としては、今は改善されていますが、当初は管理画面上やサイト上で欧米形式の部分がありました。例えば、顧客名の姓と名が逆になっていたり…。外資系のサービスなので仕方ないかなと対応してきましたが、気になる内容は要望を出させていただきました。

また、複雑なコードをいじらずにサイトの文言を変更することが簡単なので、支払いや住所入力のミスがあれば、お客様へのアナウンスや注意書きを行っています。オペレーション上の課題もクリアしながら現状の機能を最大限に活用しています。

 

── 特にPOS導入が比較的Shopifyのサービス初期の頃だったこともあり、慣れるのが大変でしたよね。でも、最近は日本でもShopifyが普及し、日本向けに徐々にバージョンアップされている印象です。

 

高橋様:そうですね、POSについては最近本当に使いやすくなっていると思います。また、必要な要件があればご相談しながら、基本的には自分たちですべて運用できることがわかったので、コスト面でもかなり改善されたように思います。

何より、アナログ作業が多かった過去を思えば、それらが自動化され解消されたのは大きな成果だったと感じます。

 

また非常に助かっているのが、保管場所別に在庫を管理できることです。基本的には南青山本店に商品がありますが、小さな倉庫でも在庫を管理しています。在庫が保管場所別に管理できることで、数が足りなくなった場合にそちらから補充することが簡単に行えるので、とても便利です。

 

── 今後はどのような展開を検討されていますか?展望をお聞かせください。

 

森田様:現在、オリジナル商品の制作と販売も行っており、将来的にはより幅広い方々に私たちの取り組みを知っていただけるような機会を作りたいと考えています。また、海外のお客様にも販売をしていきたいですね!

高橋様:インスタやSNSでの発信にも力を入れていきたいと思います。リールやLINEで商品の案内をすると、非常に反響が良いです。配信後には必ず40〜50人の方がサイトを訪れてくださっているのがわかり、とても励みになります!

 

 

インスタライブも時々実施されていますが、スタッフの皆さんのアットホームでほっこりするトークがとても魅力的です。森田商店のファンの方々が、代表の森田様をはじめ、スタッフの方々のナンタケット商品への思いに共感して、自然とファンコミュニティが形成されているのが素晴らしいです。

この度はインタビューにご協力いただき、ありがとうございました!


(聞き手・文/三田村妙子)

 

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森田商店 https://morita-shouten.com/

ナンタケットバスケットの材料専門店。3000アイテム以上の材料を取りそろえ、種類、素材、形、サイズなど、豊富なバリエーションの中から自由に選んでいただき、世界で一つだけのバスケットを制作することができる。

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